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百合のカリスマについて書くブログです
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出会いたての捏造話。
いくら運命のふたりでも、お行儀よく近づいていったらいいなみたいな。



重厚な門の前に似付かわしくないスポーツカーが停まった。
波打つ髪をなでつかせて、膝下丈の制服を押さえた女子生徒がおりる。
外見から想像されるような落ち着いた少女らしい声で、送ってくださってどうもありがとう、と一礼をした。


「このくらい、お安い御用さ。僕は君からいろいろと学ばなくてはいけないらしいからな」
はるかの口調は少し嫌味かかっているようだが、実際事実だった。

セーラーウラヌスとして覚醒したばかりで前世の記憶が曖昧な部分が、多々ある。
使命のことだけではなく、敵との戦い方についてもみちるから学ばなくてはいけないことが多い。

最初は実戦となったら自分のほうが圧倒的に力を発揮できるだろう、と高をくくっていたのだが、いくら運動神経に物を言わせても経験に勝ることはないらしかった。
かといって命を落とすかもしれない戦いの場で、いきなり方法を学ぶのはリスキーだ。
最近のはるかの放課後は、ほぼ毎日みちるから「家庭教師」してもらって時間がすぎていた。

みちるの家の門限(といっても過ぎても咎められることはないらしいが)が過ぎるときは、彼女の家の前まで送っていくのが日課になっていた。
運転はもともと嫌いではないし、運動神経も良さそうな多才な彼女でも、夜道を歩かせるのは忍びなかった。
…それと、彼女自身に惹かれ初めている自分がいたのだ。



いつもなら送ってもらった御礼を述べたあとは、さっと門のなかにいってしまうみちるが今晩は何か言いたそうにその場を離れない。

「…どうかしたの?」
何か粗相をしたのかと、心配になって声をかけてもきれいに磨かれた靴のつま先を眺めているだけだ。
どうしていいかわからずに、ついいつもの軽口を叩いてしまった。
「声が聞きたくなったときに、君ならいつでも電話していいんだぜ?」



みちるは、はっと顔をあげ少し頬を蒸気させ、しかし取り乱すことなく微笑を浮かべて言った。
「…っ!あら、本当?じゃあ……もし眠れなかったら、その時はかけさせていただくわ」




「おやすみなさいませ、みちるお嬢様」
女中が自室のドアを閉めた。
時刻は22時30分。
いつものようにミルクたっぷりの濃いめの紅茶を飲む。
いつものようにイギリス式の窓から月を眺める。

いつものように…



いつもなら今日あったことや考えたことをダイアリーに記し、タリスマンについて思案し、ベッドに入るのだが。
今晩は眠れそうにない。
みちるは数時間前、はるかが言った「いつでも電話していい」という台詞について考えずにいられなかった。
そう、まるで台詞でも喋っているかのように、彼女の唇からはすらすらと甘い言葉が発せられた。
フリークが世界中にいるんですもの、当然だわ。社交辞令なんでしょう…。
そう自分に言い聞かせ、読書や日記をすませてベッドに入ったのが23時30分だった。



眠れない…。
そう思って起き上がると、時計は24時30分を指していた。
もうこんな時間…。
この時間なら、はるかはもう寝ているだろう。エルザを凌ぐスプリンターは早寝に違いない。
朝起きて携帯に着信が残っているくらい、迷惑ではないだろう。
みちるはそう思って、そっと自分の携帯を手に取り、登録されている「天王はるか」の表示する。

1コール聞いたら、切ろう…
この電話で寝ているところを起こしてしまったら迷惑だわ…
そう思った矢先、1コールでつながってしまったのだ!


「もっ、もしもし…」
深夜だったこともあってか、あわてて声が上擦ってしまった。どうしよう、何かこんな時間に電話した理由をみつけなくては…
けれど嘘をつくのも不自然な気がして、素直に言ってしまうことにした。
「ごめんなさい、こんな時間に。なんとなく寝付けなくって。もうお休みになられていたかしら?」
「いや、僕はまだまだ起きているさ。君のほうこそ、とっくに就寝時間だったと思っていたよ」
「あら、意外と遅くまで起きてらっしゃるのね」
「ふふ、だから声が聞きたくなったら何時でもかけていいって、言ったろ?」
はるかの甘い台詞に、思わずどきっと反応してしまった。
「そんなことでかけていたら、ずっと電話していることになってしまうわ!」


「…」
「…!」


「…!ごめんなさい。こんなこと言うつもりじゃなかったんですけれど。お忘れになって。おやすみなさい」
「…お、おやすみなさい」

ツーツー、という電子音を聞きながらはるかは目を丸くして呟いた。
「なんてこった。僕らは思ってる以上に両思いなのかもしれないぜ?」
そのまま、はるかは携帯を切らずにベッドにダイブした。






はるかさんが1コールで出れたのは、携帯みて「うわ〜かけたいけどお嬢様って寝るの早そうだよな〜〜」とか思ってたからです。
つか携帯って放送当時なくねwwwまあいっかwww
しかし後半になると雑になるわかるづら描写すみませぬ。
山田

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